2003年12月17日
自己治癒力
>imasaさん
自己治癒力を高くするには何か必要不可欠なものがあるんでしょうか。
もるぺぽ 伝言板より引用
名指しでご質問をいただいたので、自己治癒力についてとうちゃんなりに考えてみる。
自己治癒力を高くする、というか効果的に働かせるためには、何事にも当てはまることだが、よく手入れをすることが必要。
汚れを落としたり磨いたり油を注したりすることで、よい状態を保つ。これはすなわち、体にとって必要な栄養素を十分に摂り、自律神経に負担をかけるようなストレスは溜めないで発散するということ。当たり前ですねー。
あと、自己治癒力の中心的存在である免疫力について言える重要な手入れ法がある。それは、適度に動かしてやること。脳みそも筋肉も使わなければ鈍ってくる。免疫力も同様であることは言うまでもない。
誰から聞いたか「風邪は病気じゃない。体の掃除だ。だから年に何回か引いた方がいい。」という言葉が印象に残っている。避難訓練とか防火訓練とかと同じで、いざという時に自己治癒力が如何なく働くための予行演習として、あるいは免疫システムの定期メンテナンスとして風邪はちょうど手頃ってことかな。そう考えればウィルスもまるっきり人間の敵ではなく、人間の健康に一役買っているということになる。
風邪をひくと、くしゃみや鼻水や咳が出る。これは別にウィルスが直接起こしているわけではない。自分の体が、ウィルスを体外に排出しようと働いているのだ。また、風邪をひくと熱が出る。これもウィルスがいやがらせで体温を上げているわけではなく、自分の体が自発的に体温を上げている。抗体を産生する免疫システムが効率よく働くのに適した温度は、日常からだが快適に動く温度より1,2度高めだからだ。この体温の時、からだは不快を感じ、活発に活動できないから、そういう時は寝ているに限る。風邪をひくと鼻や喉などあちこちに炎症が起こる。炎症は痛みや腫れを伴う。この炎症すら、自分のからだが起こしているのである。厳密に言えばウィルスによって細胞が破壊されると炎症が起こるのであるが、炎症は損傷部位や被害の大きさを計算し治癒の計画を立てるために必要な過程なのだ。炎症の発生は薬によって容易に抑えることができるが、抑えることによって実際の被害度よりも過小な治癒計画が立てられることになり、治癒がスムーズに行われなくなる。炎症を抑える薬はウィルスを殺すわけでも破壊された部位を修復するわけでもなく、単に炎症という自己治癒の過程を起こさせなくするだけなのだ。
これらの自己治癒力の働きにより、ウィルスを排出、または抗体によって撃退し終えた時を持って、風邪が治ったという。薬を飲んで鼻水が止まったり熱が下がったり炎症が引いたりしたことは決して治癒ではない。むしろ、ウィルスの排出や抗体産生の能率を悪くするから、治癒に対する妨害工作といえる。自己治癒力はこうした妨害を受けながらもウィルスと戦わねばならないのである。風邪が長引くのは、味方に足を引っ張られての泥仕合となるからだ。病気の時、自分に味方しなくてどうする。自己治癒力も人の子(じゃないか)、邪魔ばっかりされてたらそのうちやる気なくすのは必定。だんだん働かなくなってくる。
くしゃみ、鼻水、咳、発熱、炎症などは不快や苦痛をもたらすから、できれば避けたいのが人情。それらの症状を止める薬に頼りたくなる気持ちは分かる。しかし、それらの症状自体が病気の根本ではないことを理解し、自分のからだが行っていることを正しく意識すれば、多少の不快や不便などは気にならないはず。うちなんていおぴーが熱を出すと「お、免疫スクランブルモード発動!イェーイ!」てなもんだ。
今、いい例えを思いついた。親の小言をうるさいと思うかありがたいと思うかだ。薬を飲むのはヘッドフォンで耳をふさぐようなもの。いおぴーにはそんなふうに育ってほしくないなー。
追記
自己治癒力について書いたことをshokoに話したら、「風邪の効用」(野口晴哉)という本を教えられた。さっそくお風呂に入りながら一気に読んだ。
とうちゃんが聞きかじりと思いつきで書いたことを読むより、こっちを読んだ方が断然いいのでお薦め。shokoが「整体もバッチも入り口が違うだけで、アプローチする体の本質は同じ」と言った。至極納得。良い事言うなあ。
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