イオ日記: 悪寒

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2005年6月27日

悪寒

山田五郎さん(仮名)、今年で46歳になる。

30歳を過ぎたころから、山田さんの体内にある種のウィルスが棲みついた。

40代に入って、ウィルスは進化・増殖しその種類を増やしていった。ウィルス群は増えたり減ったりしながら、長い年月、山田さんと共存していた。

それがつい昨日、突然一種類のウィルスが爆発的に増殖を始め、他のウィルス群をみるみる圧倒していった。この暴力的なウィルスをHウィルスと呼ぶことにする。

1時間ほど前から、山田さんは悪寒を感じはじめた。背筋がぞっとする感じ。そしてつい先程から発熱、頭痛がする。Hウィルスが恐ろしい速度で山田さんの体から栄養分を奪っていく。

山田さんは苦痛を感じながらも、恐れはなかった。自分の治癒力を信じているし、発熱も頭痛も自分の体が治癒のために起こしていることを知っていたからだ。

あと数分もすれば、Hウィルスは駆逐されるだろう。Hウィルス自身が引き起こした治癒力の働きによって。その後は前にも増してすっきりとした気分になれることを、山田さんは知っている。

山田さんは今後もウィルスと共存したり、時には闘ったりしながら、寿命が尽きるまであと50年生きるだろう。

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地球が誕生して46億年。

30億年を過ぎたころ、地球に動物が生まれた。

40億年が過ぎ、生物は進化・増殖しその種類を増やしていった。生物は増えたり減ったりしながら、長い年月、地球と共存していた。

それがつい30万年前、一種類の生物が地球上にその勢力を増し、他の生物種をみるみる圧倒していった。この生物種は自らを人間と呼ぶ。

数千年ほど前から、人間は農耕を始め、文明を築き、産業を興した。そして、自然を破壊し、恐ろしい速度で地球の資源を食い尽くしていく。

地球は傷つきながらも、生きている。温暖化も地殻変動もすべて、ただ地球が生きていることの証左に他ならない。

あと1000年もすれば、人間は絶滅するだろう。人間自身が引き起こした資源枯渇と環境破壊によって。その後、地球は前にも増して静かな星に戻り、太陽の周りを廻り続ける。

地球は今後も生物と共存したり、時には闘ったりしながら、太陽に呑み込まれるまであと50億年生きるだろう。

2005年6月27日

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