子供の日
2002年01月12日
ワチャン先生宅で目を覚ます。イオpさんは、まだ熟睡中。私だけ起きて、ポーチで暖かい豆乳を飲む。この家は、庭に向かって入り口が大きく開いており、そこに広いポーチがある。ダイニングセットや、寝椅子が何台もあり、一家は大抵、ここで過ごしているようだ。庭には、本当に大きなマンゴーの木が二本、庭を大きく覆うように茂っていて、とても気持ちが良い。久しぶりに、冷房も無く、緑の多いところで一日過ごせるなんて幸せだ。ワチャン先生は、朝から訪ねて来ている自分のお母さんにマッサージをしている。働き者だ。本当ならいつも週末は土日とも政府主催の学校で、貧しい人の就職をバックアップする為に、タイマッサージを教えている。今日は、国民の休日ということで、その学校もお休みなのだ。めったに無いお休みなのに、朝からマッサージする先生。タイマッサージが天職なのか。その後も3人ほどの患者が、家にマッサージを受けに来ていた。それじゃ、全然お休みじゃないじゃん、先生。医者の不養生とは、この事だ。
イオpさんがやっと9時近くなって起きてきて、ワチャン先生の家に居ると判るとニコニコしながら「おばあちゃまは~?」とポーチに出て行った。イオpさんも豆乳と揚げパンで朝食。だらだらと過ごす。裏庭のタイ・ハーブ畑に水をやりに行ったり、ポーチに新聞を敷いて食事の支度を手伝ったり、庭を掃除したり。こうしてみると先生も先生の奥さんも、実に上手くイオpさんにお手伝いをさせてくれている。イオpさんは、大満足。私は、やはり身近な祖父母の存在の必要性を強く感じる。
暫くして先生の息子さんが、寝不足な様子で目を充血させて起きてくる。イオpさんの声を聞いて起きて来たようだ。さすが、子供好きのタイ人だ。写真で見たとおり、とてもキュートな感じ。声もちょっと掠れた魅力的な声だ。年を聞いてびっくりの34歳、独身。空港勤務。性格もとても良さそうで、さすがに自慢の息子だ。奥さんと仲良く話している様子が、とても好感が持てた。あとイオpさんに対する態度とか。きっと、男女共にもてるんだろうなあ。マッサージについての助言を幾つか受ける。
奥さんの美味しい昼食後、昼寝。不覚にもイオpさんを寝かしつけるだけのつもりが、私も寝てしまった。1時間ほど寝て、奥さんと一緒に近所の屋内マーケットへ。イオpさんは、ここでも道行く人皆にちょっかいを出されて、ついに「キーーーッ!!」となる。どうにも収まらずにキーキー言うイオpさん。当然、タイ人にはイオpさんのストレスは解ってもらえず。近くにいたおば様に「そんな風に煩くしては、いけませんよ。」と窘められてしまう、可哀想なイオpさん。やはりストレス限界だ。落ち込む私。なんだか突然、イオpさんをおもちゃにするタイ人に対する怒りが湧いてしまう。自己逃避だろうか。
結局何も買わずに帰宅。奥さんが、自分を台にしてマッサージをしてみろというので、急遽、マッサージの講習会になる。イオpさんが慌てて阻止しに来たけれど、先生息子に相手をしてもらって、ご機嫌に遊んでくれた。が、あまり持たず30分位で中断。それでも得るものは、多くあった。あ~、まだまだ精進しなくては~~!
だらだらと過ごし、5時過ぎに先生宅をおいとまする。結局だらだらと過ごして一日が過ぎてしまったが、もともとは、「子供の日に市内で色々と子供向けのイベントがあるので、案内してあげる」と先生夫妻が言ってくれて、「それなら前の晩から家に泊まって」てな展開だったはず。さすがタイ人。常に今を生きている人たちだ。先のことが、まったく読めません。(笑)。奥さんが、ご飯や果物などを袋に詰めて持たせてくれる。なんだか嫁に行った娘が実家に帰ったみたいだ。MO CHIT駅まで車で送ってもらう。一日たっぷり遊んで、汗でべとべとの私とイオpさん。早く帰ってシャワーを浴びたい。が、水がもう無いのでLOTUSに寄って買い物。食事の準備をするのは良いが、食材を買って荷物をこれ以上重くしたくないので、食べて帰ることにする。春雨炒めと豚のココナツミルク煮をかけたご飯と米麺。イオpさんは、「なんか甘いものも~。」なんてすっかり邪食な子供の発言をしている。昼間、手羽元を食べたりしたからなあ…。ご飯をもりもり食べて、まだ「なんか甘い物~」というので、私も惹かれてアイスカチャンを買う。今日は、福豆と仙草ゼリーと蓮の実に黒蜜を掛けたもの。お豆さんと蓮の実は、イオpさんのお気に召したようで、良かった。邪食なりの、せめてもの慰めだ。
帰宅してお風呂に入って、イオpさんは、すぐ寝てしまったけれど、1時間ほどで寝ぼけて泣いていた。嫌な夢でも見ているのだろうか。申し訳ない。ここ一週間で、「わからない」ということを言うようになって、相手の行動や言葉が理解できない、理解してもらえないプレッシャーがかなりあるようだ。今までは、タイ語で話し掛けられて答えられなくても、大して気にしている風ではなかったのに、ここ一週間くらいは「わからない」と言っている。私に対しても、時々私がイオpさんに言うことを「わからない」と言うのだ。なんだか、抑揚の無い声で。そんな風に答えられると不安と後悔が渦を巻いてしまう。私は、イオpさんに大きなトラウマを与えてしまっているのだろうか。もしホメオパシーの存在を知らなかったら、もう取り返しのつかないことをしたと思って、一生自分の後悔として残ってしまったことだろう。今は、何があってもホメオパシーの存在が、過去を取り戻してくれるのだ、と思うのみだ。ただ、学校の予定を切り上げることは、少し考えている。あー、私は一体、何をしているのだ。
§