11月10日、いよいよ予定日である。僕は今日から2週間産休をとり、いざ出産に備える。が、一向に陣痛が来る気配も無いようだ。僕は一応妊婦のパートナーらしく気を利かせて「何か食べたいものあったら、買ってくるよ」などとやさしい言葉をかけてみたりすると、Shokoは「焼きイモとキムチとコージーコーナーのケーキ」と遠慮会釈なくのたまう。 これまでの摂生はなんだったのかと半ば呆れつつも、素直に従い、ひとっ走り買い物に出る。
Shokoはバクバクと焼きイモとキムチとケーキをあらかた平らげ、この異常な食欲がもしかして予兆?などと思ってみたりもしたが、やはり陣痛はやってこないまま、夜もふけゆく。うさはお願いした通り、明日になるまで出てこない気らしい。整体の先生にも多少陣痛がきても痛みが寝られる程度なら朝まで寝たほうがよいと言われていたので、二人顔を見合わせ、「寝るか・・・」となる。
が、ベッドに入ってしばらくした頃、Shokoが突然がばと起き上がり、トイレに駆け込む。何事かとドキドキしながら僕も起きる。トイレから出てきたShoko、
「破水した」
それが何を意味するか。陣痛の前に破水したら自然分娩は諦めなければならないという暗黙の了解。 せっかくここまで頑張ったのに…という虚脱ムード満載で、Shokoは育良へ電話、僕は荷物の準備をする。至急来いとのこと、時計を見ると23時15分。今からタクシーを拾って行くと育良に着くのはもう11日かなどと漠然と考えながら、青梅街道までタクシーをつかまえに走る。
さいわいすぐにタクシーはつかまり、家の前まで回してもらう。Shokoは乗り込むやいきなり横になり、運転手さんはさぞ驚いたろうが、事情を察するといろいろ気を使ってくれ、ありがたかった。タクシーの中で、とりあえず麻由美さんに連絡しておこうと電話すると、これからすぐ来てくれるという。申し訳なかったが、不安だったのでこれもありがたかった。
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