行方不明

「きもだめしっていうことで、ひとりで三角まで行っていい?」といおぴー。かあちゃんはあっさり「いいよ」と答える。いおぴーは見るからにドキドキしながら、支度をしてひとりで家を出た。かあちゃんに「こっそりついてってよ」と言われ、どうせ不安になってすぐ戻ってくるだろうと思いながら、2分ほど遅れて家を出る。

自転車に乗って、いおぴーが行ったであろう方へそろそろと行ってみると、向こうからこっちへ向かって引き返してくるいおぴーが見えた。案の定、不安になって行くのをやめたのだろうと思い、とうちゃんはいおぴーに見つからないように大急ぎで家に戻った。

いおぴーが家に戻ってくるものと思ってしばらく待ったが、戻る気配がないので、あわてて自転車に乗って様子を見に行く。近くには見当たらないので、三角までのルートを途中まで走るが、いない。別の道を行ったのかと、いくつかある三角へのルートを走り回ったがいおぴーの姿は見えない。入れ違いで家に戻っているかもしれないと、戻ってみるが、いおぴーは帰ってきていなかった。

青くなって、一人で行かせるなんて馬鹿なことするんじゃなかったと後悔しながら、とりあえずもう一度三角まで自転車を走らせる。三角広場に着いてみると、そこに集っている母子グループに木登りを披露しているいおぴーがいた。ほっと胸をなでおろす。木の上からとうちゃんを発見したいおぴーは、木から飛び降りて駆け寄ってきた。

後で、なぜ引き返して別ルートで行ったのかといおぴーに訊いたら、はじめは近道しようと思ったけど、やっぱりいつも挨拶している守衛さんに挨拶して行こうと考えなおしたらしい。守衛さんに一人で歩いてる姿を見せたかったのだろう。「どうして戻ってきたって知ってるの?」と逆に訊かれ、とうちゃんしどろもどろになりながら、「パン屋さんが教えてくれたんだよ。いおちゃんが戻っていきましたよって」と適当にごまかした。

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