大仏

春休みに控えた奈良歴史旅行のしおりを作っているいお。表紙をどうするか思案しているようだったので、とうちゃんの修学旅行の話をした。

中学の修学旅行が京都・奈良だった。美術の時間に京都・奈良をテーマに自由に絵を描き、その中からしおりの表紙が選ばれることになった。すべての作品が廊下に貼り出されて、生徒間で投票を行った結果、とうちゃんの絵が圧倒的多数票を集めて選ばれた。ちょっと自慢。とうちゃんが書いたのは東大寺盧遮那仏、いわゆる奈良の大仏。図鑑の写真を見ながら写実的に書いた。今思えば面白みのない絵だったが、中学生的には巧い絵が良いという評価なのだろう。

そんな話に触発されたのか、いおも表紙に大仏の絵を描き始めた。資料も見ないで想像で描いているという。描きあがった絵を見せて「どう?」と聞く。大仏を正面から見た絵だが、妙に貧相な印象。おもわず「しょぼい」と率直な感想を述べてしまい、いおはふくれっつら。あわてて「大仏ってもっとでっかい感じじゃない?」と言うと、「だってこれ飛鳥の大仏だもん」と言う。いおの班は飛鳥を研究する担当なので、飛鳥大仏を描いたのだそうだ。飛鳥大仏ってどんなのだっけと、ネットで調べたら、なんといおの絵の印象の通り。細部はあちこち違っているが、本物を知っていて、いおの絵を見たら一発で飛鳥大仏とわかるレベル。何も参考にせず、学校で見た写真を思い出しながら描いたとは思えない。ちょっと驚いた。いおに「飛鳥大仏と思って見たら、すごく上手!さっきは東大寺の大仏と思い込んで見たからさー」とフォローすると、いおは得意げに鼻をふくらませた。

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