マイアミ→ジャマイカ

明るくなる前に目が覚めてしまった。寝ているとき、いおぴーがぼくの上に転がってきたのでほくそえんで腕枕して寝ていたら肩の筋を痛めてしまったのでお湯につかれば少しは楽になるかと思い、shokoといおぴーを起こさないようにこっそりとお風呂に入った。肩は治らなかったが頭はすっきりしたので、ノートパソコンを開き旅行記を書く。書いているうちに明るくなって、目覚まし時計も鳴ったのでshokoを起こす。shokoは耳が痛くてよく眠れなかったようだ。カーテンをあけて窓の外を見たら変な小動物を発見。shokoを呼んで見せた。ハリネズミの様だったがよく判らない。shokoは楽しくなったと言った。いおぴーにも見せたがわかったかどうか。

荷物をまとめ、チェックアウトする。空港行きの送迎バンが10時に来るという。えっと驚いて時計を見たら9時50分だった。まだ9時前のつもりでいたのだ。10時30分の飛行機にキャンセル待ちで乗りたかったのに、もう間に合わない。昨日時計を合わせるときに時差の計算を1時間まちがえたようだ。大失敗。ぼくはマイアミは初めてだったので夜までマイアミでもべつに悪くないと思っていたのだが、shokoは自分の目算が狂い、すっかり不機嫌になってしまった。とりあえず空港に行き、エアジャマイカのカウンターで昼のキングストン経由の便に換えられないかと聞いてみるが、満席でだめだと言われた。 shokoはバッチフラワーのレメディで不機嫌を解消し、気分を転換。ジャマイカ入りを早くする計画は忘れて、マイアミで遊ぶことに決めた。

荷物を空港に預けて、フードコートで朝食をとりながら計画を立てる。バスでサウスビーチまで行き、その後ダウンタウンのマーケットプレイスへ行くことにした。空港からのバスは日曜日のため1時間に1本しかなく、待合室で20分ほど待った。いおぴーさんは待っている間元気全開で、じっとさせておくのに一苦労だった。バスが来たので乗った。料金は乗り換えチケットを含めて一人$1.50と安かった。タクシーだと$20以上かかるのでバスにして良かった。ぼくはバスの中で胃がむかむかし始め、ちょっと気分が悪くなった。さっき食べたフォカッチャとコーヒーのせいだろう。今度はshokoがぼくの心配をした。途中でビーチ沿いに南に向かうバスに乗り換えて、適当なところでバスを降りビーチまで歩いた。風が強かった。風に吹かれていたら気持ち悪いのが少しおさまった。いおぴーはスリングの中でぐっすり眠ってしまった。

マイアミビーチ

ビーチは活気にあふれていた。若者が非常に多く、フリスビーしたり駈け回ったりしていた。マイアミビーチといえばもっと年寄りばかりが日向ぼっこしているイメージだったのだが、想像と違った。すごく楽しい気分になり、マイアミでゆっくりして良かったと思った。ジャマイカに行かずにマイアミに滞在してもいいくらいだった。次はマイアミに来ようとshokoと話した。波打ち際沿いを南に向かって歩いた。向こうに見える岩場まで歩こうといって歩いたがあまりに遠かったので途中で向きを変え、今度は波打ち際沿いを北に向かって歩いた。靴と靴下を脱ぎ、ズボンの裾をまくって水に入りながら歩いた。とても気持ち良かった。裸の人ばかりの中、普通の服を着て子供を抱いてカバンをぶら下げて歩くshokoは修行僧の様だった。荷物を預けてしまったので水着がないのが悔やまれる。結局いおぴーさんは浜辺にいる間中、爆睡していて一度も目を覚まさなかった。いおぴーの海デビューはジャマイカに持ち越し決定。

靴をはいてビーチの1本内側のカフェがたくさん並んでいる通りを歩いた。この通りも賑やかで水着で歩いている人も多い。のどが乾いたのでそのうちの一軒に寄ることにした。あまり音楽のやかましくない店を選んで、路上のテーブルについた。ぼくはコーラ、shokoはハーブティーを頼んだ。もう昼をだいぶ過ぎていたのでパスタも注文した。ぼくのパスタは美味しかったけれどチーズがいっぱい入っていて、また気持ちが悪くなるといけないので半分くらいでやめておいた。残りはshokoが食べた。いおぴーさんも目を覚まし、椅子の上に置いたカバンにちょこんと座ってサービスのパンを食べた。またもお店の人や道行く人々に可愛い可愛いと言われた。日本で言われるよりうれしいのはなぜだろう。

店を出た後は少し通りをぶらぶらし、それからバス停に向かった。ダウンタウン行きのバスがすぐに来たので乗った。一応乗り換えチケットを買った。二人で$3。ベイサイド・マーケットプレイスに行きたかったがどこで降りればいいかよく判らない。メトロムーバーというモノレールみたいな乗り物の駅が見えた時、shokoがどこで降りればいいか聞いてと言ったのだがぼくはここで降りると言ったと思い、バスを降りてしまった。shokoはまた少し不機嫌になった。でもメトロムーバーでマーケットプレイスの近くまで行けることがわかったので乗っていくことにした。エレベーターでホームまで上がった。料金は一律$0.50とすごく安い。すぐに来たので乗った。かなり高いところを走るので見晴らしが良くて楽しかった。いおぴーさんも楽しそうだった。shokoも乗れて良かったと言った。7駅目のベイフロントパークというところで降りた。マーケットプレイスを探して地図を見ながらぶらぶら歩いたらベイフロントパークがあったので寄ってみることにした。人が多くにぎわっていた。どんどん入っていくとメリーゴーラウンドとかが見えてきて楽しげだった。そしてそこがマーケットプレイスだった。ちゃんと着けて良かった。

マーケットプレイスはヨットハーバーに面していて、ヨットやボートがたくさん出入りしていた。店を眺めながら、ときどき店に入って商品を眺めながら、ぶらぶら歩いた。ヘルシー屋でエキナセアのチンキ剤を買った。日本で買う半額以下だった。店員がアイスクリームを食べているのを見て食べたくなり、アイスクリーム屋を探して見つけた。shokoはグァナヴァナというトロピカルぽいやつに挑戦、ぼくはアーモンドにした。2個で$7.50。オープンエアのデッキに出て海を見ながら食べた。ぼくのは杏仁の味がした。またしばらく店を見ながらぶらぶらした。店はすごくたくさんあったが欲しいものはあまりなかった。BabyGAPにハロウィンの着ぐるみがあって、いおぴーに着せてみたかったが高いのでやめた。6時近くなったのでそろそろ空港に戻ることにした。タクシー乗り場があったので帰りはタクシーで帰ればいいと思っていたが、一応、案内で空港行きのバス停の場所を聞いたら近くにあるようだった。7時と言われたが1時間に1本なら6時のにも間に合うかもと思って行って見たらちょうどバスが来た。乗り換えチケットがあったのでそれで乗ることができた。交通費は全部で$7で済んでしまった。ぼくはバスに乗るとすぐ寝てしまい、空港に着いてshokoに起こされた。いおぴーも眠っていたようだ。

荷物を引き取って、エアジャマイカのカウンターに行き、チェックインを済ませた。ボーディングまで1時間以上あるので朝と同じフードコートに行き、ピザを食べながら時間をつぶした。レッツノートを出して旅行記の続きをちょっとだけ書いた。書いたものをshokoにも見せた。今日のマイアミの一日は非常に充実していて、ただの移動日に終わらずに結果的にはすごく良かった。まあ、早くジャマイカに着いていればジャマイカの夜も良かったかもしれないけど。 8時半に搭乗ゲートに向かった。待合室がすごく混んでいたので隣のゲートの待合室で待った。待っている間、持ってきた文庫本を読んだ。銀色夏生。9時になっても人が動く気配が無いのでどうなっているかと思って見に行ってみたら、もうほとんどの人は搭乗しているのだった。あわてて搭乗した。あの待合室にいる大勢の人はいったい何なんだろう。マイアミからジャマイカのモンテゴベイまでは1時間半くらいなのであっという間だ。短い時間なのに一応機内食も出て、食べ終えてしばらくしたらもう着いた。

ジャマイカ

ジャマイカの入国審査は簡単で、滞在日数を訊かれただけで1分で済んだ。荷物をピックアップし、到着フロアに出ると旅行社のカウンターが並んでいて、インターネットで予約した旅行社のカウンターに行った。帰りの飛行機と迎えの時間を確認し、しばらく待つように言われた。椅子をひとつ出してくれたのでいおぴーを抱っこしているshokoが座った。待っている間にトイレに行ったら個室は全部カギが壊れているかドアが閉まらなかった。

なかなか迎えが来る気配が無いので、今からネグリルを出るんじゃないの。などと冗談を言い合った。ぼくたちが泊まるネグリルは空港のあるモンテゴベイから車で2時間かかるのだ。そうこうしている間に旅行社の人も帰り支度を始める始末。おいおいと思っていたらこちらに向かってきて車に案内すると言う。しかたないから帰るついでに送ってくれるんだよきっと。とまた冗談。空港を出て車まで行くとそのバンにはすでにカップルが一組乗っていた。男性のほうは野球帽をかぶった若い黒人だった。shokoが調子に乗って、そしてこの2人はヒッチハイク。とまた冗談を言う。運転手がやって来てジェイアールと自己紹介した。ノープロブレム。このジャマイカ人は言葉の最後に必ずノープロブレムがつく。あんまり連発されるとかえって怪しい。

車が走り出す。空港の外に出るともう真っ暗で何も見えない。 途中給油に止まったとき、黒人の兄ちゃんが話し掛けてきた。どこから来たと訊くので東京と答えると、オゥ!じゃあ日本人か!と言って、隣の女性を指し、彼女はマサコっていうんだぜーイェー!と言った。彼女は知らん振りしていたが、じゃあさっきのヒッチハイクの冗談わかってんじゃん・・・気まずくなってその後shokoもぼくも無口になってしまった。車は真っ暗な狭い道をかなりのスピードで、ときにクラクションを鳴らしながら走り続ける。対向車とすれ違うときなどかなりスリリングで、黒人の兄ちゃんなどその度にOh!Shit!と言っていた。 黒人の兄ちゃんと運転手のジェイアールは意気投合したらしく会話が弾み出し、「XXXXメ~ン」と「XXXXノープロブレム」の会話はかなりファンキーで映画のようだった。黒人の兄ちゃんがオシッコするから車とめてくれメ~ンと言うと運転手はいいよ車止めるから遠慮なくオシッコしてくれノープロブレムと言って車を路肩に止め、黒人の兄ちゃんが車を降りてオシッコしに行くとジェイアールはぼくにもオシッコを勧め、ぼくは遠慮すると、ユーはクライブに似ていると言う。クライブって誰?と訊こうとすると、俺の兄弟でシンガーだと言う。ぼくはジャマイカ人に似てるらしい。さらに車は走りつづける。いおぴーとshokoは眠ってしまったらしい。ぼくも眠かったが起きていた。やっとネグリルに着く。まず彼らの泊まるヘドニズムⅡへ行き、彼らを降ろす。ヘドニズムは裸でパーティーしたりするらしいアダルトムード満載のお子様お断りのホテルだ。

ヘドニズムを出るとジェイアールが露骨にチップを要求し始める。shokoが送迎も料金に含まれてるからと牽制すると、いきなり険悪になりユーチップ払う、俺グッド!ノープロブレム!と言う。剣幕に押されて、とりあえずOKと答え、いくら払うかこっそり相談する。$5くらいでいいだろと決める。その後の運転があからさまに乱暴になり、ちょっと怖かったし、すっかり嫌な気分にさせられた。ぼくたちの泊まるネグリルビーチクラブに着き、車を降りてジェイアールに用意した$5を渡す。ジェイアールはうんざりした顔をして、これっぽっちかよもう1枚出せよと言う。むかついたがこれ以上やりとりするのも御免なので、もうこれしか無いよ!と言ってポケットにあった$1を渡し、さっさとホテルに入っていった。ジェイアールはつまらなそうに車に乗り、去っていった。帰りのピックアップも運転手がジェイアールだったら嫌だなあ。ジャマイカに着くなりこの出来事で、すっかりジャマイカの好感度は急降下した。旅行者の意見で「もう二度とジャマイカには行かない」というのがあったのもうなずける。

さて、ホテルにチェックインしたのはもう12時を回っていた。チェックインを済ませ部屋に案内される。部屋はツーベッドにバスルームのシンプルな部屋だった。shokoがキチネット付きの部屋を予約したはずなのにキチネットがついていないので、フロントにいって部屋を換えてもらってきてと言う。いやな役目だったが仕方なくフロントへ足を運んだ。別にキチネットなんて無くていいのに・・・フロントの兄ちゃんにその旨告げると、キチネット付きは空いてないんだよ数日だからがまんしてと言う。ぼくはそれ以上言っても仕方ないと思い、解ったと言って部屋に戻った。shokoは納得できない様子で、旅行社に文句のメールを書くと言ったが、とりあえず今は疲れもピークだしすべては明日ということにして、寝ることにした。長い一日だった。

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