ライバル意識

三角へ遊びに行く。しばらくキャッチボールしていたが、あまりに寒いので帰ろうといおぴーを促す。が、帰りかけたところで同い年くらいの女の子が「一緒に遊ぼう」と声をかけてきた。いおぴーは小さい声で「いいよ」と答え、一緒に遊び始めた。

女の子はバドミントンとフリスビーと縄跳びを持ってきていたが、それらでいおぴーと遊ぼうという気はないらしく、自分がどれだけ上手にできるかを見せたいだけのようだった。縄跳びはすごく上手で後ろ跳びもでき、いおぴーも感心していた。フリスビーはいおぴーのほうが上手だった。しかし、どれもちょこっとやって、すぐ次に行ってしまう。やることがなんだかいおぴーに似ている。いおぴーもだんだん対抗意識を燃やしてきて、一緒に遊ぶというより、自分はこんなことができるというのを互いにアピールするだけになってきた。

すごく活発な女の子で、たいていのことはいおぴーより上手くできる。一応は「すごいね」と相手をほめるが、いおぴーの心中は穏やかではない。

木登りでちょっと挽回したものの、自転車の補助輪付きを指摘されてまたも劣勢を強いられたいおぴー。起死回生を狙って、踏み石を伝って川を渡れるところを見せようとしたのだが、怖くて実行に移すのを躊躇していたら、その女の子に先を越され、川を渡られてしまった。川の反対側に立ち尽くすいおぴーに向かって女の子は「できないんでしょ?無理しないほうがいいよ」と煽るようなことを言う。どうしても渡れないいおぴーは、目に涙を溜めながらも口を真一文字に結び、黙って帰り支度を始め、その場を去ることを選んだ。とうちゃんに言われてようやく小さな声で女の子に「じゃあね」と声をかけたが、その目はもう二度と遊ばないと告げていた。

とうちゃんは、いおぴーに劣らず負けず嫌いだった自分の幼いころを思い出して胸が苦しくなった。

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